「すぐにでも売りたい」のか「受け継いだから守らないと」と思うのか
ご事情や状況によりますが、ご実家を相続した場合、多くの場合がこの選択肢になります。
都内の郊外に住むさくらさん(仮名)は、こうおっしゃってました。
「祖父の代から受け継いだ家だから、売らずに守らなくちゃと思っています。」
おじいさまが建てたご実家は築60年を迎えようとしており、数年前には介護をしていたご両親も亡くなり、現在はさくらさんお一人で100㎡を超える4LDKに住んでいました。
さくらさんが普段使うスペースは自分の部屋とキッチンくらいだそう。
ご両親や祖父母の荷物がそのまま残っているそうで、何となく手放せない、手放しちゃいけない、そんな思いを抱えていたようです。
自分の部屋以外は、面倒で雨戸は閉めっぱなし。
換気もしていない真っ暗な部屋。
庭には草が生い茂り
屋根や外壁の塗装や修繕も行っていない様子でした。
人の気と建物の気。
これって不思議だけど密接にかかわっているのですよね。
空気が停滞した暗い部屋は、住む人にも影響が生じてるくものです。
「守らなくちゃいけない。」そんな思いを抱えつつ、一方でこのままで良いのか、ずっとモヤモヤしていたそうです。
「守る」って、何から守るの?
おじいさまが建てた家を受け継ぎ、そして守る。
ご家族にとって思い出の詰まったかけがえのない家です。
祖父の代から続き、ご両親が暮らしてきた家。
生まれてきてから、ここで育ってきた家。
簡単に手放せない気持ちはよく分かります。
でも、今回は少し違和感を感じました。
「この家を守ることが、さくらさんにとって本当に幸せなんだろうか?」
一人っ子で未婚のさくらさんには、残してあげたい跡継ぎがいません。
そして、家を持ち続けるには維持管理が必要です。
家の中を清掃したり換気する。
庭の手入れをする。
定期的に屋根や外壁を点検したり修繕も必要になる。
そして、税金もかかります。
つまり、「持ち続ける」ということは、それなりに維持管理とコストがかかるのです。
必要以上のスペース分は、必要のない費用まで負担しなければなりません。
そして、さくらさんの場合は家族全員の荷物と思い出も留まったまま、抱え込んだまま。
これには気持ちの負担も伴います。
「次に、この家を残したい人はいますか?」
「守るのもいいと思います。けど、守ったとして誰に残したいんですか?」
「それが居ないんですよね。親戚の誰かに継いでもらおうかと思って。」
その親戚も、普段は付き合いが殆どないとのこと。
相続人には該当しないし、持ち家があるそう。
また、特にご両親から家を守るように言われたわけでもない。
いろいろと状況を伺い、さくらさんの人生観も少しずつ見えてくると、「守る」より「活かす」ことのほうがより良いと思えてきました。
「もしこの家を売却したとしたら、やりたいことって何?」
そんな会話をしていくうちに、「車が欲しい。」とか「山登りに興味があるんです。」とか、これまで自分の奥底に蓋をしていた思いが少しずつ表にでてきたと同時に、ワクワクさも伝わってきました。
「受け継いだ家を守らなければ」そう思っていた。
「誰のために何を守るの?何から守るの?」
考えてみたら、そこには明確な答えがなかった。
ご両親の介護で、自分のやりたいことなんて考えてもいなかったことでしょう。
バトンを渡す人も、特に守る理由もない中、重いエネルギーと義務感を背負ったまま暮らすよりも、自分らしく生き生きと自分に投資したほうが、きっとご両親も喜ぶのではないでしょうか。
自宅を手放すと決めたら、人生の話が始まった
不思議なくらい、さくらさんから迷いがなくなりました。
いつの間にか話題は「どの車を買おうかな」に変わっていました。(笑)
以前から欲しかった車。そして、念願だった山登り。
家を売却したことで、ずっと蓋をしていた夢を実現することができました。
肩の荷物を下ろしたことで、表情も明るく垢抜けたように感じました。
きっと、ご両親も喜んでいらっしゃるんじゃないかな。
家を手放したところで、ご両親との思い出まで失ったわけではない。
むしろ整理して処分することで、いい思い出だけを残すことができる。
そして、これからの人生を楽しむ余裕が生まれた。
「残すこと」と「守ること」は、同じではない
私たちは、「残すこと」に価値があると思いがちです。
親から受け継いだものなら、なおさらです。
「先祖代々の土地だから」
「親が大切にしていた家だから」
「手放したら、二度と戻せないから」
どれも、とても自然な気持ちだと思います。
でも、残すことと守ることは、本当に同じでしょうか?
誰も使わない家を、修繕もできないまま持ち続ける。
そのためにお金も時間も必要性のないものに使い、同時に重荷を抱えることになる。
それって、本当に「守る」ことなのでしょうか。
私から見れば、過ぎさった過去より今の自分を大事にしてほしい。
時には手放すことが、その人自身の人生を守ることになる。
そんなこともあると思います。
不動産には、「売る・残す」以外にも選択肢がある
だからといって一律に「古い家は売ればいい」という話ではありません。
売る。
貸す。
リノベーションして活用する。
誰かに引き継ぐ。
一部だけ手放す。
隣地の人に活用してもらう。
いろいろな活用方法があります。
その人の置かれた状況や、これからの人生に合った方法を探すのが一番です。
祖父母やご両親の時代と違って、今は地価も上がっているし物価も高い。
マイホームは一生に一度の時代も終わったし、維持コストだけでも本当に大変です。
自分はこれから何をしたいのか。
そのために、不動産をどうするのが一番いいのか。
そうやって考えてみると良いでしょう。
私が不動産コンサルタントとして大切にしていること
私は、不動産の「売る・買う」だけをご提案したいわけではありません。
”その人自身が、どうしたいのか”
それによって、不動産をどうしたら一番いいのかを一緒に考えます。
お金に少しゆとりができるが、暮らしに余裕が生まれる。
やりたかったことができるようになる。
その人が自分らしく、充実した人生を送れる。
そんなお手伝いができたら、とても嬉しく思います。
だから、ご相談いただいたときには、
「この先、どんな人生を送りたいですか?」
とお聞きし、人生の実現に向けた最適解を一緒に考えていきたい。
守る。活かす。育てる。
不動産は、いろいろな選択肢があります。
どの選択肢をとるかによって、数十年後の資産の額も変わる。
あなたらしい人生のために不動産をどう活かすか。
私は、そんな不動産の相談に寄り添っていきたい。
一緒に二人三脚で目標地に伴走できたら嬉しいです。
